畳に使われる「い草」の産地はどこ?産地ごとの違いとは?

公開日:2025/02/15  

産地畳に使われるい草の産地には、主に国産のものと海外産のものがあります。そして、それぞれに異なる特性があることをご存じでしょうか。本記事では、そんな「い草」にスポットを当てて、詳しく解説をしていきます。これから畳を購入する予定のある人は、素材となるい草にもこだわってはいかがでしょうか。

い草の主な生産地

い草の生産地は、日本国内と海外に大きく分けられます。

日本国内

国内の主な生産地は熊本県と福岡県で、特に熊本県は国産い草の90%以上を占めています。福岡県がそれに次ぎますが、かつては熊本(肥後表)や福岡(筑後表)だけでなく、広島(備後表)、岡山(備前表)、高知(土佐表)、石川(小松表)などでも生産が盛んでした。

しかし、近年は輸入い草の増加や畳の需要低下により国内生産が減少し、多くの地域では生産が途絶えるか、わずか数軒の農家しか残っていないのが現状です。

海外

一方で、い草の国内生産を補うために海外生産が進められてきました。現在、日本で使用されるい草の約80%が輸入品であり、その大半が中国産です。また、韓国や台湾も輸入先として挙げられます。これらの海外生産地では長年の研究により品質が向上し、一般住宅でも広く使用されるようになりました。さらに、はっ水性やデザイン性を備えた付加価値商品やブランド商品も生まれ、幅広いニーズに対応しています。

海外でのい草増産の背景

こうした背景には、日本国内でのい草生産の減少と畳文化の存続に対する危機感がありました。伝統的な畳文化を維持するため、海外生産によって供給を支えつつ、国内外の市場でい草製品の普及に努めています。これにより、い草は実用性だけでなく、デザインや機能性を兼ね備えた商品として現代のライフスタイルにも適応しているのです。

国産い草・中国産い草の異なる点

国産い草と中国産い草には、見た目、耐久性、価格の3つの観点から明確な違いが見られます。それぞれの特徴を理解することで、自分の目的やライフスタイルに合った選択ができるでしょう。

見た目の違い

見た目の観点では、国産と中国産のい草に大きな違いはありません。ただし、よく観察すると、中国産のい草は太さや色にムラが見られることが多いです。これは、収穫時期や選別の違いに起因します。国産のい草は、6月下旬から7月中旬にかけて、十分に成長したい草を収穫します。

その後、品質や等級ごとに丁寧に選別されるため、均一でムラの少ない仕上がりになるのです。一方、中国産のい草は成長途中の段階で1か月ほど早く収穫されることが多く、選別にもそれほど時間をかけません。これにより、ばらつきが生じやすいのです。ただし、近年では日本企業や技術者が中国でのい草生産に携わることで生産技術が向上し、普及品クラスでは国産との違いが小さくなりつつあります。

耐久性の違い

耐久性においては、国産い草の品質の高さが際立ちます。中国産のい草は、輸送中のカビ発生を防ぐため、短時間で強力な乾燥処理が施されます。その結果、い草が乾燥しすぎて表面がもろくなりやすく、長期間使用するとささくれが発生しやすくなるのです。また、日焼けによる色ムラが生じやすく、赤みがかった外観になることもあります。

一方、国産のい草は十分に成長してから収穫されて乾燥にも時間をかけるため、繊維が詰まり弾力性が高く、耐久性に優れています。さらに、日焼けが均一に進むため、艶やかで味わい深い風合いへと変化するのです。これらの特徴により、国産い草は中国産に比べて約1.5倍も長持ちするといわれています。

価格の違い

価格に関しては、中国産い草が国産い草よりも安価です。これは、中国産が早い段階で収穫され、大量生産が可能であるためです。一方、国産のい草は収穫から選別、加工に至るまで多くの時間と手間をかけているため、価格が高くなります。ただし、国産い草はその分耐久性や品質に優れ、長期的に使用することでコストパフォーマンスが高くなるというメリットがあります。

購入時の選択ポイント

購入する際は、使用目的や生活スタイルを考慮することが重要です。例えば、小さなお子様がいる家庭で頻繁に買い替えが必要な場合は、コスト面で優れた中国産が適しているでしょう。一方、い草の香りや風合いを楽しみたい方、あるいは長期間の使用を重視する方には国産がおすすめです。国産い草の高い品質と耐久性が、畳やい草製品を末永く美しく保つポイントになります。

まとめ

畳の素材として使われる「い草」は、日本国内産と海外産で特徴が異なります。国内産の中心は熊本県で、国産い草の90%以上を生産しています。他にも福岡県などで栽培されますが、輸入品の増加や需要減少により国内生産は減少傾向です。一方、海外産の多くは中国から輸入され、品質向上が進んでいます。国産い草は収穫や選別に手間をかけており、均一な見た目と高い耐久性が魅力です。中国産は安価で入手しやすいものの、耐久性に劣る場合があります。香りや風合いを楽しむなら国産、頻繁に交換する場合は中国産と、用途に応じた選択がおすすめです。本記事が、畳選びで悩んでいる人の参考になれば幸いです。

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